人間の身体は20歳ころまでに完成し、それ以後の体力は加齢とともに衰えていきます。中高年になって登山をするとき、体力が衰えていることを忘れてはいけません。さらに運動後の疲労の回復能力も低下しています。若い時にスポーツを行っていた人は、まだ意識的な若さが残っており、無理しやすいので注意する必要があります。中高年になって登山を行う際には、精神的な面に比ベて体力的な面の衰えが大きいことを常に念頭において行動すべきでしょう。
1)登山に必要な体力
20歳代の体力は一般的に50~60歳代で半減します。平素、運動をしているとその低下速度を遅らせることができます。歩くのに必要なエネルギーの供給能力には、心臓から血液を送り出す能力が大きくかかわってきます。体カトレーニングを積んで持久力をつけた人は1回に血液を送る量(拍出量)が大きいため、安静時の心拍数が少なくなっています。体カトレーニングを続けながら段階的に山の難易度を上げていくべきです。
2)体力づくりをしよう
登山には体力が必要です。体力はトレーニングから生まれます。体カトレーニングによって、筋力を鍛え、持久力や調整力を高め、バランス感覚の向上に努めましょう。体カトレーニングの方法としてはジョギング、水泳、卓球、ヨガなどが良いでしょう。日常生活の中ではリズミカルな速歩を心がけましょう。また、電車の中で立っていることや、エレベーターを使用せず階段を昇降することもバランス感覚の向上や下肢の筋肉の強化に役立ちます。ラジオ体操を続けるのも良いことです。
体力トレーニングの前後の準備運動や整理運動にストレッチ体操を忘れないで行ってください。また、登山を始める前にストレッチ体操を行っておくことも、行動中のこむらがえりやアキレス腱炎の予防になります。 (文部省発行「楽しい登山より抜粋」)
遭難防止について(会報R6年11月号)
会報2008年11月号に掲載された「遭難防止について」を再掲します。今読んでも啓発されます。
中高年の登山ブームで遭難事故が多発していますが、当会においても比較的軽い捻挫やじん帯の損傷、転倒による打撲などが起きていると聞いています。楽しい登山を少しでも長く続ける為には、こうしたトラブルの発生回避についてどのように対処すべきか今一度考えて見ましょう。思いつくままに箇条書きしてみました。
・寝不足や過労の状態で参加しない。
・歩き始める前に十分な準備体操、ストレッチを行なう。
・浅い靴は捻挫し易いので、足首まできちんとカバー出来る登山靴を使用する。
・不必要な物は持たず、出来るだけ荷を軽くする。
・水分は十分に用意し、登山中こまめに飲む。(足のツリ、バテ防止)
・ストックを有効利用してひざの負担を軽くし、疲労の軽減に努める。
・登山中疲れがピークに達する前にリーダーに申し出て、荷物を持ってもらうとか、速度を遅くするなどの措置を講じてもらう。(当日の体調もあるので遠慮したり、恥じる事ではありません)
・山行中、リーダーに無断で勝手な行動を取らない事。